九大の知と社会をつなぐー九州大学地域連携推進室

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第17回 ロボットを創る! ~ロボットと環境モデリング~

みんなと”ロボット”をつなぐ素敵空間 第17回サイエンスカフェ@ふくおかを開催しました!

第17回ポスター

今回のサイエンスカフェ@ふくおかは、「ロボットを創る!〜ロボットと環境モデリング〜」をテーマにロボット工学の最前線に迫りました!SFの中だけではなく、今や私たちの生活へと浸透しつつあるロボットたち。ロボットはなぜ歩けるのでしょう?そして、ロボットはこれからどこへ向かっていくのでしょうか?

当日は雨の中、今回も多くの方にご参加頂きました!

今回、ロボットについてお話いただいたのは、九州大学大学院 システム情報科学研究院の倉爪亮教授です!倉爪先生、どんな質問にも論理的にお答えになられていて「さすが工学の先生だな!」という印象を受けました。その上とても易しく解説をしてくださるので楽しくロボットを学ぶことが出来ました!

今回の講師:倉爪亮 博士

倉爪亮博士のプロフィール
1967年宮崎生まれ. 東京工業大学大学院で機械を学んだ後, 電機メーカーで人工知能, 東京工業大学でロボット, 東京大学でコンピュータビジョンと, テーマと職場を転々とし、2007年より現職.

ロボットってなんだろう?

さてさて、みなさん「ロボット、ロボット」と言いますが、そもそもロボットってなんなんでしょうか?鉄腕アトムやドラえもん、鉄人28号にガンダム、私たち日本人がロボットと聞くとそういったアニメの世界のイメージが広がります(筆者の偏見ですかね?)。

じゃあ、強力な武器や不思議な道具を使って悪と戦うのがロボット?

いや、もちろんそんなことはないはずです。自動車工場のラインで組み立てを行うロボットもいます。原発事故の現場など、人が立ち入ることが出来ないところへ入って作業をする災害用ロボットもいます。その視点から見ると、

人の手伝いをしたり人にできないことをする機械がロボットでしょうか?

それならば、洗濯機もロボット?なんか少し違うような……。ちょっと深く考えてみると、”ロボットの定義”って意外と曖昧です。ここはやはり専門家に聞いてみましょう!倉爪先生、ロボットってなんなんでしょうか?

倉爪先生「システムインテグレーションによって生み出されたもののことでしょう」

さっそく横文字だー!システムインテグレーションというのは、センサ・モータ・コンピュータ・制御技術・情報処理技術等の様々な部品や要素を組み合わせて知能機械システムを構築すること。これにより生み出されるのが、ロボットであり、ロボット・テクノロジーなのです!

ロボットはどうやって歩いているんだろう?

システムインテグレーションによって生み出されるものがロボット。とは言っても、ロボットには様々な種類があります。先ほども少し例を挙げましたが、組み立てロボットだったり、災害用ロボットだったり。他にもアイボに代表されるようなペット型ロボット、はたまた軍事用ロボットまで。様々な場面でロボットは利用されています。カフェでは様々なロボットの映像が紹介され、みなさん興味津々でした!
とりわけインパクトの強かったのが「Big Dog」と呼ばれるロボットの映像(みなさんもyoutubeにて”big dog”と検索してみてください!)。4足歩行のロボットなのですが、雪山だろうと斜面だろうと氷の上だろうと蹴られようとも体勢を大きく崩すことなく進んでいきます。しかし、ロボットなのに妙に生き物らしい動きをするものだから少々鳥肌が立ちます(笑)

さて、そんな様々な種類がある中、日本が得意としているのが人型二足歩行ロボット、いわゆるヒューマノイドです。有名なところで言えば、本田技研工業株式会社の開発したASIMOがあります。CMなどでご存じの方も多いと思いますが、まるで本当の人間のように歩いたり走ったり踊ったりします。日本のロボット技術の高さは凄まじいですね!

さてさて、ASIMOはいともたやすく歩いているように見えますが、ロボットを歩行させるというのは決して簡単なことではありません。倉爪先生によると、ロボットを歩行させる方法には2つの種類があるそうです。
まず1つ目は、「倒れる前に足を付く」!「当たり前すぎない!?」と思ったあなた、確かに結構単純です。手のひらの上でホウキを逆さに立てた状況を想像してみてください。だれでも一度はありますよね?ホウキはぐらぐらとバランスを崩せば倒れてしまいます。この状況は、「倒立振子」と呼ばれます。逆さの振り子ということですね。さて、ある方向にホウキが傾いたとき、どうすればホウキを倒さずに済むでしょうか?

経験的に答えはわかると思います。そう、「ホウキが倒れそうな先に手を動かして」あげればいいんです。そうすれば、ホウキは倒れることなくしかも位置的に少し前へ進みます。これをそのまま応用してあげればいいんです!倒れる先に手を出すのではなく、足を踏み出すようにしてあげればロボットは前へ進むことが出来ます!これが1つ目の方法、「倒立振子方式」です。では、もう1つの方法はなんなんでしょうか?倉爪先生、教えてくださーい!

倉爪先生「ZMP」

え…?な、なんですか?ぜっとえm…

倉爪先生「ZMP(ずぃーえむぴー)」

ZMP。そう、これがもう1つの方式なのです。ZMPとは、ゼロモーメントポイント(Zero Moment Point)の略で、人間の運動やそれによって生じる慣性力などを考慮に入れた上での重心の位置が常に足の裏に来るようにする歩行方式です。これは少しむずかしいですね。。しかし、先ほどのASIMOをはじめ、現在開発されているほとんどの2足歩行ロボットはこのZMP方式を使って歩行を実現しています!

ロボットはどこへ向かうのか?

私たちの生活にも徐々に浸透しつつあるロボットですが、これからどういった方向に進んでいくのでしょうか?カフェではロボットの未来に関して、生活支援ロボットの観点からその将来についてお話いただきました。
生活支援ロボットは読んで字の如く、私たちの生活を支援してくれるロボットです。家事を手伝ってくれたり、介護の援助をしたり、生活の質を大きく改善してくれることが期待されています。しかし、この生活支援ロボット、しっかりとその機能を発揮するには条件があります。それは、整備環境が整っていることです。
ロボットは、どこにどんなものがどんな状態で置かれているのかまたは居るのかを把握して初めて行動することが出来ます。突然「青い服を取ってきてくれ」とロボットに頼んでも、その青い服が家のどこにどんな状態(ハンガーにかかっている?タンスの中にたたまれている?)であるのかがわからないと命令を処理することが出来ません。こういったロボットのための情報提供が乏しい環境のことを非整備環境といいます。逆に、工場のラインのようにどこになにがあるのかがしっかりとロボットに共有されている環境は整備環境と呼ばれます。生活支援ロボットが私たちのまわりで円滑に活躍するためには、家の中や街の中を整備環境にしてあげる必要があります。

IT技術を利用して、家の中や街の中をロボットにも人間にも優しい環境を作り上げる取組はすでに実験が行われています。その技術のことを、”環境情報構造化技術”と呼びます。具体的には、人の動きを捉えるセンサの入ったカーペット、レーザ・カメラによる複数移動体同時追跡、ICタグを利用した知的収納庫などがあり、ロボットはこれらのものから送られた人や物の位置・状態情報を利用して命令を遂行することが出来ます。すごく未来ですね!!
人や物の位置が分かればもう完璧!…ではありません。もうひとつ重要な情報が必要です。それは、地図!いくら物の位置が分かっても周りの環境(目の前に木がある、机があるetc)の情報、つまり環境地図がなければそこへ向かうことが出来ません!倉爪先生の先生の現在のご専門はまさにこの環境地図の作製!環境地図を作り上げるには、写真測量、航空写真、実際にその場に行って撮る等さまざまな方法がありますが、倉爪先生はレーザレンジファインダと呼ばれる機器をロボットに搭載して環境地図作り上げます。レーザレンジファインダとは言うなればレーザを利用した高性能の眼!この機器とGPSを組み合わせることにより3次元の高精度な環境地図を自動的に取得する実験を行われているそうです!

倉爪先生の研究が進んで、より効率的に環境地図を生成することができるようになれば、より一層ロボットが社会に進出しやすくなるに違いありません!数十年、いやもしくは数年後にはロボットがより身近に人々を支える時代が来るかもしれませんね!

ロボットを語らう!

講義の後はみんなで質問タイム!今回もたくさんの質問が飛び出しました!みなさん、ロボットの社会進出にはかなり関心があるようでした。

次回のカフェは?

次回のカフェは4月4日に開催予定!
テーマは、「天然素材の都市伝説を科学する!」九州大学 農学研究院の清水博士をお招きして、アロマや生薬といったものの効能について科学的に迫っていきます!詳しくは、イベントの案内をご覧ください!次回も多くのご参加お待ちしています!!

(古浦)

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