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第23回 二酸化炭素を考える ~循環する物質、二酸化炭素を深く考える!~

みんなと“二酸化炭素の真実”をつなぐ第23回サイエンスカフェ@ふくおかを開催しました!

第23回ポスター

第23回を迎えた今回のテーマは、「二酸化炭素を考える 〜循環する物質、二酸化炭素を深く考える!〜」です。”二酸化炭素=悪”、その図式は本当に正しいのでしょうか?

今回も会場はBIZCOLIさんです!
たくさんの方に来ていただきました!ありがとうございます!

今回の講師は、九州大学カーボンニュートラルエネルギー国際研究所の藤川茂紀博士です!非常に分かりやすい解説で意外と知らない二酸化炭素の真実を教えて下さいました!

BIZCOLI館長の八尋さん(左)、講師の藤川博士(中央)、聞き手の吉岡博士(右)

藤川茂紀博士のプロフィール
広島県出身。特に強い理由もなく理科系を志望。大学の研究室にて、師と呼べる先生と出会い、物事のとらえ方について強烈な印象を受け、気がつくと博士課程が終っていた(九州大学大学院工学研究科修了)。アメリカと理化学研究所で、自由な研究環境のなか、興味の向くまま研究を行って来た。頭でっかちでありつつも、あきっぽい性格が現在の悩み。しかし、生命活動を化学として理解し、なんとかそれに近づくための研究を進める努力をして今年で15年。博士(工学)。

二酸化炭素はわるもの?

二酸化炭素と聞いてみなさんはどんなイメージを持ちますか?
恐らくですが、決して少なくない数の人が「地球温暖化」を連想するのではないでしょうか。それもそのはず、ニュースでも新聞でも、はたまた会社や学校でも、「地球温暖化抑止のために二酸化炭素排出量を減らそう!」という標語やスローガンがしきりに叫ばれていますからね。このためなのか、「二酸化炭素は悪いやつ!」というイメージが広がっています。でも本当にそうなんでしょうか?炭素原子に酸素原子が2つくっついただけの無機物が私たちの未来を脅かす黒幕なんて、よくよく考えてみると信じがたいです。

悪い二酸化炭素さんのイメージ

実際、二酸化炭素は悪者とは言い切れません。実は私たちの生活の様々な場面で二酸化炭素は有効に活用されているんです!最も身近なもので言えばドライアイスがあります。ご存知の方も多いと思いますが、ドライアイスは二酸化炭素を冷やして固体にしたものです。アイスクリーム屋さんやケーキ屋さんでテイクアウトすると箱の中に入れてもらえますよね。つまり、二酸化炭素のおかげで私たちはお家でアイスクリームが楽しめるわけですね!二酸化炭素いいヤツ!!もちろんアイスクリームを冷やすだけが二酸化炭素のいいところではありません。二酸化炭素を利用したレーザー「炭酸ガスレーザー」は工業加工や医療分野で利用されています。また、農業の場面ではイチゴの促成栽培にも利用されているそうです。その他にも二酸化炭素はいろんな分野で活用されています。少し二酸化炭素に対するイメージが変わったでしょうか?
いいところがたくさんあってそんなに悪いやつでもなさそうだというのは分かったのですが、それでもやっぱり地球温暖化の一因であることには変わりありません。どうにかしてその量を減らしていかなくてはいけないのです。

二酸化炭素と地球温暖化

「地球温暖化の原因は二酸化炭素を始めとした温室効果ガスである」と多くの人が信じています。先ほどもそれを前提に話を書きました。しかし、この「地球温暖化の原因=温室効果ガス」は限りなくその可能性が高いひとつの説に過ぎません。絶対にそうだ!と断定されているわけではないんです。というのも、地球の温度は実に様々な要因が複雑に影響しあって決まっているものであって、1つの要因を取り上げて「こいつが犯人だ!」とはなかなか言い切れないのです。そもそも二酸化炭素にはなぜ地球を温めてしまう効果があるのでしょうか?
地球が暖かいのはもちろん太陽のお陰です。地球の1平方メートルの面積に太陽からは342Wのエネルギーが降りそそいでいます。地表に届く頃にはこのエネルギーの一部は反射されて、約7割のエネルギーが地球を温めます。でもエネルギーを受け取ってばかりだと温度は上がっていく一方です。実際には受け取るだけでなく、地球からもエネルギーが放射されます。さらにこの地球からの放射の一部が、二酸化炭素を始めとした温室効果ガスに吸収されて地球の温度は保たれています。もし温室効果ガスがないと仮定すると、地球の温度はなんと−19度になってしまうそうです!増えすぎているから問題で、全くなかったとしたらそれはそれで大問題なんですね。。

地球からの放射を受け取る二酸化炭素さん

地球からの放射は赤外線として放たれるのですが、二酸化炭素を始めとした温室効果ガスはその赤外線を吸収して再び放出する性質を持っています。二酸化炭素の放出量増大によりこの温室効果が強くなりすぎてしまい、結果として地球温暖化に繋がっているということなんですね。

二酸化炭素を回収する!

というわけで、地球温暖化の犯人だとかなり高い可能性で思われる二酸化炭素を減らしたいですね!藤川先生、一体どうすればいいんでしょうか?

藤川先生「旧石器時代の生活に戻ればいいんですよ!」

極論ッ・・・!
まあ本当に旧石器時代に戻ろうにしてもなかなか大変なわけです。なんとか現代の生活を維持したまま現代の叡智と技術を用いて二酸化炭素の量を減らすことはできないのでしょうか。藤川先生が所属される九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所はまさにそれを目標に日夜研究を行なっています。

そんな中で、藤川先生がご専門とされているのは、「二酸化炭素の回収」です。空気中に二酸化炭素が増えすぎているのが問題なんです。ならば回収してやろう!ということですね。…とは言っても、もちろんそれは簡単なことではありません。「いろんな物質が混ざった気体から二酸化炭素だけを分離して回収する」というだけでも難しそうですが、それよりも難問なのが「二酸化炭素回収の際にエネルギーを使ってはいけない」という点です。せっかく二酸化炭素を回収しても、そこにエネルギーを使用してしまったらどこかで二酸化炭素を排出することになり、結果としてプラマイゼロとなってしまいます。一体どうやってエネルギーを使うことなく二酸化炭素を回収するのでしょうか?

回収の方法には3つあります。
 1.溶液に吸収させる
 2.吸着剤で吸着させる
 3.膜で分離する

1と2の方法に関しては、「圧力」が必要になります。圧力を生み出すにはエネルギーが必要です。ということで残る選択肢は3です。分離膜を用意してあげて濾過してあげるんです。よっしゃ!じゃあ分離膜バンバン作りましょう!と言いたいところですが、これもやっぱり簡単なことではありません。二酸化炭素を分離する膜は薄く、穴は小さく、しかもそもそも膜を形成してくれるものでないといけません。そうでないと結局膜分離法でも圧力が必要になってしまうんですね。藤川先生はセラミックスを用いた薄膜を開発し、回収エネルギー0の二酸化炭素分離を目指されています。

そういえば、回収された二酸化炭素をどうするかも気になりますよね?なんと、地下に貯留するんだそうです!天然ガスを地下から掘り出すのと逆のことですね。これはすでに北海道で試験的に行われているそうです。「多くなりすぎた二酸化炭素を回収して地下に埋め込む」、単純かつ大胆な方策ですが、まだまだ越えるべき課題は多いようです。この技術が確立して、いつの日にか地球温暖化なんて心配する必要のない日が来るといいですね!

二酸化炭素を語らう!

講義の後はいつものように先生とのフリートークタイムです!
地球温暖化の問題は私たちにも身近な問題なだけあってみなさんの関心もかなり高いようでした。

次回のカフェは?

次回のカフェのテーマは、
「ミクロな世界で水を見る!〜コンピュータシミュレーションで見る水の動き〜」
で、10月24日(金)に開催予定!

普段何気なく見ているコップの水。なにも起きていないように見えて、実はミクロな世界ではなにかが起きている!?コンピュータシミュレーションを用いてあなたの知らない水の世界に迫っていきます!!

詳細はこちらから!
みなさまのご参加、お待ちしております!

(古浦)

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