九大の知と社会をつなぐー九州大学地域連携推進室

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第55回 「『動き』と『計算』」の関係 〜モバイルロボット群の分散協調〜

みんなと”「動き」と「計算」の関係”に迫る
第55回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

サイエンスカフェ 第55回のテーマは
「『動き』と『計算』の関係〜モバイルロボット群の分散協調〜」
ロボットの自律化を数学の観点から迫りました!

第55回ポスター

今回のカフェも渡辺通にあるBIZCOLIさんの素敵な空間をお借りしての開催となりました!

今回も満員の大盛況!
たくさんの方にお越しいただき、大変嬉しく思っております!

毎度ありがとうございます!

今回の講師は、
九州大学 大学院システム情報科学研究院情報学部門 山内由紀子 准教授です!
数学の中の図形と群論という分野を用いてのロボットのお話でしたが、丁寧なスライドとお話で、初学者にもとてもわかりやすい講演をしていただきました!

講師の山内准教授(左)と聞き手の吉岡准教授(右)

山内 由紀子准教授のプロフィール
兵庫県出身。読書と語学とプログラミングが好きだったので、大学は工学系へ進み博士号を取得。
学生時代から自律適応性や自己組織化をキーワードに、様々な分散システムを研究対象としている。

〜ロボットの意義とは?〜

現在の社会はInternet of things(IoT)という、インターネットで社会を作ろうという考えが拡がっています。しかしこの超大規模なインターネットを全体把握しようというのは難しいお話です。それで現在は、一挙集中ではなく各々が分散して社会を築く技術が大事とされています。
ロボットにもその様な考えが拡がっています。現在発展めまぐるしいドローンですが、たくさんのドローンを思い通りに動かすには無線操縦しか方法はなく、それは結局たくさんの人員を必要とすることになり、ロボットを最大限に活かせているとは言い切れません。
求められるのは、ロボット群が自律して、協調すること。人間がすることは最初に簡単なアルゴリズムを与えあげることです。

〜どんな研究をしているの?〜

そうするための方法を数学の力で調べていきます。調べ方は、完全に同じアルゴリズムで同期されていて、各々が中心に存在していると考えている点とみなされたロボット達が指定された紋様を作れるかどうかということです。大事なことは、ロボットに位置の指示を出すのではなく、こういうものを作れという指示を出しているということです。
面白いのは、平面だと一つの場所に集まったり、円を形成したりするのですが、我々の住む三次元空間、即ち立体の頂点にいるロボットに対して平面になれという命令になると話は変わるということです。
研究で分かったのは、非対称な立体だと形を崩して平面になりやすいのですが、回転対称性と呼ばれる対称性を持つ立体、正二十面体と、立方体と正八面体を組み合わせた半正多面体と呼ばれる立体は回転対称性を崩すことができず、命令をこなすことができないということです。

正多面体(回転対称体の一部)
http://f.hatena.ne.jp/

〜回転対称性は破られる?!〜

上の図は回転対称性を持つ立体を示していて、それらは回転対称群という群を成しています。
群とは、演算が定義されたものの集まり、即ち掛け算や割り算のようなもので縮小や拡大することができるものの集まりを言います。

群の仕組み。Oが大元になっている。
山内先生作

話を戻します。先ほど回転対称性をロボットは破ることはできないと言いましたが、それはすべての話ではなく、Go-to-Centerアルゴリズムというものを使うと対称性を破ることができるものもあります。それがどのようなものか、立方体を用いて説明致します。

各頂点にいるロボットは、好きな面に移動していいというアルゴリズムが搭載されます。

すると当然、頂点が8個に対して面は6個なのでロボットの存在する面に偏りが出ます。(サイコロを想像すると理想的ですね。)
その偏りをロボットが修正しようとして、面に集まった頂点のロボットたちは分散します。そしてそのときに対称性が破られ平面になることが可能になります。これがこのアルゴリズムの全容です。ですので先ほど述べた二つの立体以外は、このアルゴリズムを用いると回転対称性を破ることができるのです。

ロボットの自己組織能力は初期配置で決められていますが、この様なアルゴリズムの開発でロボットの自律運動に多様性が生まれています。そして様々な運動モデルが、ロボットの自律化に役立っていくことが今後も期待されています。

〜ロボット群について語り合う〜

講義の後はいつものように先生とのフリートークタイムです!
今回は講義中用いた回転体を皆さん用いて様々なトークで盛り上がりました。

「5体のルンバを効率よく掃除させたりできるのか」

「各々が中心的に自律するだけで、ロボットが協調性を持って作業を行えるのか」

等、今回のテーマに沿った鋭い意見も伺えました。
ちなみに後者の質問に対して先生は「園児に、『みんな円を作って』とお願いするとそれ以外に指示を出していないのにみんな手を取り合ったりして円を作ったりしますよね。」と返答されていました。とても今回のお話が深まるやりとりだったと思われます。

サッカーボールの様な半正多面体を作るなど、皆さん創意工夫を楽しんでいる様でした!

次回のカフェは?

次回のカフェのテーマは、

「宇宙の謎に迫る!」

で、4月15日(日)に開催!

次回は特別公演ということでBIZCOLIの向かいにあるホテルニューオータニで、

2015年ノーベル物理学賞受賞の梶田先生

にニュートリノについてお話ししていただきます。宇宙から飛来してくる宇宙線が大気中で作るニュートリノを観測し、そのニュートリノが大気中で別の種類のニュートリノとなる「ニュートリノ振動」。岐阜県岐阜市神岡で行われたこの「スーパーカミオカンデ実験」が当時どの様に行われ、姿を変えるニュートリノやニュートリノの質量の存在がどの様に発見されたのか、ノーベル賞受賞の実験についてお話ししていただきます。とても感動的な時間になると思われます!

詳細はこちらから!

みなさまのご参加、お待ちしております!

(牧瀬)

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