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第77回「ふたごの個性の謎に迫る!~遺伝子にはスイッチがついている?~ 」

“ふたごの個性の謎に迫る!”
第77回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

サイエンスカフェ 第77回のテーマは
「ふたごの個性の謎に迫る!」
~遺伝子にはスイッチがついている?~
同じ遺伝子を持って生まれてくる一卵性のふたご。
でも、その二人の性格や好みが違っていることがあります。
それは二人の遺伝子のスイッチが違っているから?
そのスイッチであるエピゲノムとは?
などについて詳しく教えていただきました!

今回も、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、BIZCOLIさんのZoomを用いての開催となりました!

今回の講師は、
九州大学生体防御医学研究所
鵜木 元香 准教授 です!

東京生まれの東京育ち。幼少時から生き物好き(恐竜→昆虫→哺乳類)。
麻布大学獣医学部で獣医師の資格を取得後、東京大学大学院医学研究科にて、細胞ががん化するメカニズムを研究。
その時に発見した分子がエピジェネティック制御機構に重要であったことから、エピジェネティクスに興味をもち、現在に至ります。
趣味は自然散策と風景や生き物の写真を撮ること。
自然はDNAのような小さなものから空や雲まですべてびっくりするほど美しいなと思います。
著書に「生まれつきの女王蜂はいない(講談社)」や「もっとよくわかる!エピジェネティクス(羊土社)」があります。

スタッフと参加者の方々

(最上段右から二番目)九州大学先端素粒子物理研究センター 吉岡 瑞樹 准教授
(上から二段目左端)九州大学生体防御医学研究所 鵜木 元香 准教授
(下から二段目左端)九州大学大学院工学院応用化学部門 岸本 顕広 准教授

・ゲノムとは?DNAとは?

今回はリモートによる開催でしたが、鵜木先生のご厚意により一部の参加者の方々のもとへ実験キットが郵送され、それぞれの手元でDNAを抽出する実験からサイエンスカフェが始まりました!豚肉を溶かした溶液にエタノールを加えると、白い糸状のものが析出します。この糸状のものがDNAです。DNAには塩基配列によってゲノムと呼ばれる情報が記されています。ゲノムのうち、細胞の設計図として使われる遺伝子の部分はなんとわずか1%程度だそうです!
ゲノム情報はアルコール耐性、薬の効きやすさなどの個人の体質に関係しています。子供は両親からゲノム情報を受け継ぎますが、ゲノム解析から子供の学習能力や性格が全てわかるわけではありません。子供の性格への遺伝と環境の影響の割合はだいたい半分ずつだそうです。
2020年、CRISPR/Cas9と呼ばれるゲノム編集技術がノーベル賞を受賞しました。この技術によって、生き物のゲノム編集が数週間~数か月と短期間で簡単に行えるようになりました。この技術は農業や漁業の分野、感染症予防などに応用されており、今後は遺伝病の治療などに役立つことが期待されています。

・エピゲノムとは?~遺伝子についたスイッチのお話~

生き物のからだのいろいろな部位の細胞はそれぞれ異なった機能を持っていますが、すべての細胞が持っているゲノム情報はどれも一緒です。生き物が異なる機能を持つ細胞を作ることができるのは、エピゲノムと呼ばれるDNAに付随した部分のおかげです。異なる種類の細胞は異なるエピゲノムを持っています。このエピゲノムが遺伝子のスイッチとして機能することで、それぞれの細胞を作るのに必要な遺伝子情報のみが読み出され、生き物はいろいろな種類の細胞を作ることができます。
ある個体でのゲノム情報が変化することがないのに対して、エピゲノムは後天的に変化することがあります。例えば、ミツバチのメスの幼虫ははじめすべて同じ性質ですが、ロイヤルゼリーを与えられた幼虫のエピゲノムのみに変化が起こり、その個体が女王蜂へと育ちます。また、ソライロアサガオの花びらの模様は、エピゲノムの揺らぎにより青色色素を合成する遺伝子情報が場所によってオン・オフされることにより現れます。
このようなエピゲノムは、受精卵が細胞分裂していろいろな機能を持った細胞へ分化していく際に形成されます。また、人間においても大人になってからでもエピゲノムは一部変化します。つまり、一卵性双生児のふたりの間で大人になってかかる病気などに差があるのは、環境的な要因によってふたりのエピゲノムに徐々に違いが出たことが一因であると考えられます。

(荘司)

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