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第82回「太陽光発電の謎に迫る~脱炭素技術の最前線~」

1月14日に行われた第82回サイエンスカフェ@ふくおかを報告します!

第82回のテーマは
「太陽光発電の謎に迫る~脱炭素技術の最前線~」

カーボンニュートラルと、それを実現するためのキーとなる太陽光発電について、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER:アイスナー)松島敏則先生にお話しいただきました!
ちなみにアイスナーは世界で唯一カーボンニュートラルの名を冠する研究所だそうです。

今回もBIZCOLIさんのZoomを用いての開催となりました。

今回の講師 松島先生(2行目中央)とスタッフの皆様

松島敏則先生のプロフィール
熊本県生まれ。九州大学で博士号を取得した後に、各地をめぐり、2014年に福岡に帰ってきました。脱炭素社会実現へ貢献することを目指して、企業と連携しながら、太陽電池に関する基礎研究と応用研究を進めています。毎日ジムで汗を流しているにもかかわらず、健康診断結果が悪化していることが悩みです。写真は最近釣った「ブリ」です。

私たちが生活する上で、エネルギーは欠かせませんよね。大昔は木を燃やして燃料としていましたが、人間の活動規模が大きくなるにつれてより多くのエネルギーが必要になり、燃やすものが石炭から石油、天然ガスと変わり、燃やす量もどんどん増えてきました。
でも困ったことに、地球上にある燃料の残りが少なく、しかも燃やすほどCO2が出て、地球温暖化が進むことが分かってきました。

じゃあ現在の活動と地球環境の両方を維持するためにはどうすればいいの?というわけで、今回のキーワードの1つであるカーボンニュートラルが出てきます!

カーボンニュートラル

日本でも2050年までにカーボンニュートラルを目指すことが2020年10月に宣言されました。
日本語に直訳すると炭素中立…何だかパッとイメージがわかないですね。具体的には、車や工場、家庭から出るCO2の量と、森林などが吸収するCO2の量を合計してゼロにすることだそうです。

そこで重要となるのがいかに排出されるCO2の量を少なくするかということです。
ここでは例として自動車の出すCO2について見てみましょう。
電気自動車はCO2を出さないので、ガソリン車をすべて電気自動車に置き換えると、自動車のCO2問題は解決するでしょうか?
ところが自動車は走っている時だけCO2を出している訳じゃないんです。自動車を作るときや燃料となる電気を作る発電所でも排出されていて、トータルで計算すると日本では数万キロ走行してやっとガソリン車よりCO2排出が少なくなるそうです。結構長距離でビックリしますね!

つまりカーボンニュートラルを実現するためには、発電時にCO2を出さない再生可能エネルギーが重要になってきます!
再生可能エネルギーには太陽光、風力、水力、バイオマスなどがあり、それぞれ特徴がありますが、エネルギー量としては太陽光が圧倒的に多く、何と地球に降り注ぐエネルギーの0.014%だけで人類が使用するエネルギーを賄えてしまうそうです。

さて太陽光をエネルギーとして利用するためにはどうすればよいでしょうか?そこで2つめのキーワードの太陽電池が出てきます。

太陽電池

太陽電池で太陽光を電気エネルギーに変換します。
この太陽電池にも色々種類があり、今回は大きく3つに分けてご紹介します。

シリコン系太陽電池はその名の通りシリコンを原料としたもので、耐久性に優れ、性能と価格のバランスが良いため日本で最も普及しています。欠点は硬くて重いことです。

化合物系太陽電池はシリコンではなく別の元素を組み合わせて用いた太陽電池です。組み合わせる元素により低価格で発電効率が低い、発電効率は良いが高価などのメリット、デメリットがあります。

あと1つは松島先生が研究されているペロブスカイト太陽電池です。
メリットは、作り方がシリコン系と比べて簡単で軽量、柔軟なので、今までだと重くて設置できなかったプレハブの屋根や曲面などにも設置もできるようになります。また発電効率も研究を重ねて他と遜色ないほどに改善されています。デメリットは耐久性がシリコン系よりも低い点ですが、近年の研究によってかなり寿命が伸びてきているそうです。

ペロブスカイト太陽電池が普及したら、屋根やボディに太陽電池を載せ自給自足で走る電気自動車などができるかもしれませんね!

講演後は「ペロブスカイト太陽電池はどうして経年劣化するのか?」や「リサイクルの時にどういう処理が必要になるのか?」など、多くの質問がありました。

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