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第86回「未来の魚の謎に迫る!」~新しい養殖のテクノロジー~

九州大学創立111周年記念イベント「見せる」九大の総合知の第一弾として
第86回サイエンスカフェ@ふくおかを6月21日に開催しました。

今回のテーマは「未来の魚の謎に迫る!」~新しい養殖のテクノロジー~

養殖の魚、スーパーなど身近でよく見かけますよね。
鯛や鰤など魚によっては天然より養殖の生産量が多い魚もあり、
私たちもよく口にする機会が多い割に養殖そのものについては
あまり良く知らないのではないでしょうか。

そんな養殖に関する最新のテクノロジーとそこから見える未来の魚について、
農学研究院資源生物科学部門の太田耕平先生にお話しいただきました。

 大阪府出身。福岡で学生時代を過ごした後、岡崎、ホノルル、愛南(愛媛)を経て、6年前に福岡に戻りました。
 美味しい養殖魚とあまり美味しくない性転換魚(ベラ科魚の仲間)に興味を持って研究しています。
 好きな魚食は、新鮮なキビナゴの刺身。


今回のサイエンスカフェはアジア・オセアニア研究教育機構
アクアバイオリソース創出センター九州経済調査協会の協力で開催されました。

講演中の太田先生

養殖とは

養殖は稚魚(魚の赤ちゃん)を養殖場に入れ、餌を与えて成長させながら、ある程度の大きさになると海上の生け簀などに移動させ、更に成長させて出荷します。

実は九州大学も養殖に取り組んでいることを知っていますか?その名も唐津Qサバ!
これは、完全養殖といって卵から成魚までを天然魚に依存せずに完全にコントロールするもので、餌もしっかり管理しているため、寄生虫であるアニサキスが混入することが理論上ないそうです。

養殖の3大要素

次に餌、環境、種(稚魚)という養殖の3つの大きな要素とそれを変革するテクノロジーについてお話しいただきました。

養殖魚を成長させるための餌ですが、この餌の材料は何からできているのでしょうか?
 配合飼料といって色々な原料が混ざっているのですが、実はその中に魚粉が50%含まれているそうです。持続可能性の面で、この部分を人が食べないものなどで代用する試みがされており、カイコ蛹で使用する魚粉の50%を代替することに成功しています。

環境

 世界中にはまだまだ沿岸部で養殖可能な場所が多く存在し、サケなどは鶏や豚などの畜産と比べても高い生産効率を持つなど、養殖の持つポテンシャルはかなり高いです。
 海外では100mを超える沖合生け簀やIT、IoT技術の導入などで陸上や沖合などこれまで養殖できなかった場所での養殖や給餌の最適化による無駄餌の削減、魚の死因を特定し生存率を向上させたりすることが可能となってきています。

種(稚魚)

 穀物、野菜、果物、家畜などはこれまで長い時間をかけて品種改良を行っています。では魚でも同じように品種改良が可能かというと、時間や労力、生産スペース、コストなどの面であまり現実的ではありません。

 じゃあ魚の育種は不可能?

 ところが近年のゲノム編集技術の登場により人為的に突然変異を発生させることができるようになってきており、これによって数十年~数百年かけて行われてきた品種改良を数年程度に縮める事ができるかもしれないと言われています。
 サバは稚魚期に共食いし、生存率は10%前後であるそうですが、ゲノム編集で攻撃性にかかわる遺伝子を除き、共食いを半減させることに成功しているそうです。
 また卵の代わりに生殖幹細胞と培養を用いることで、品種の保存と管理がしやすくなり、必要な時に必要な品種を養殖できるようになる研究が進められています。

未来の魚は一体どうなるのか

 現在は養殖が難しい魚なども将来的に養殖できるようになったり、フルーツフィッシュをさらに発展させ実際に味や匂いのする魚や骨のない魚なども出来るかも!と太田先生は養殖魚の未来について語っていました。

「ゲノム編集の安全性はどうなっているのか」や「海水を使わずに養殖出来るのか」など、様々な質問や意見が飛び出し、参加者の関心の高さが伺えました。

会場の伊都キャンパスフジイギャラリーの様子
遠くからお越しいただきありがとうございました

次回は「みせる」九大の総合知企画第3弾「海に潜む寄生虫の謎に迫る!」~魚とヒトとアニキサス~
医学研究院の小島夫美子先生をお迎えし、アニサキスの謎に迫ります!

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