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第88回「バイオ・フードラボから考える「海」と「食」」開催レポート

7月22日に第88回サイエンスカフェ@ふくおかを開催しました!
Vision Expo企画のトリとして大橋キャンパスでの開催となりました

今回のテーマは「バイオ・フードラボから考える「海」と「食」」
講師は芸術工学研究院音響設計部門の城一裕准教授です!
また今回は聞き手として芸術工学研究院未来共生デザイン部門の増田展大講師、伊藤浩史准教授も参加されました。

バイオ・フードラボ

新しい学生食堂が出来て空きスペースとなった旧学食・厨房を活用して作られた施設です。
今回はなんと実際にバイオ・フードラボを見学することが出来ました

バイオ・フードラボが入る共用施設棟(左)、ラボの入り口は旧学食のカウンター(右)

フードラボ

 食べるという行為は身近で重要な割にあまり学問として科学されてきていませんでした。そこをデザインの対象ととらえ、表現としての食を考えながら色々な問題へアプローチすることが目的だそうです。フードラボでは学食の厨房機器をそのまま残しつつ、3Dフードプリンターなどの最新の機器も揃っています。

ガスコンロの隣に恒温器(人工的に温度環境を作る装置)やフードプリンターが並ぶ不思議な空間

続いてバイオラボへ・・・
バイオラボはバイオセーフティレベル1のため土足厳禁とのことで、靴カバーをつけて入室しました

バイオラボ

 生物自体の構造や機能のデザインや生物を媒介とする表現について実践する場であり、同時に新しい表現やテクノロジーが招く美学的、倫理的な問題について考えるための場として作られたそうです。

 バイオラボでは遺伝子解析を行うPCR検査機やデジタルマイクロスコープなどの他、営繭に関する研究のため蚕も飼育されています。

色々な形の足場で繭作りを試す(左)、安全キャビネットの説明をする伊藤先生(右)

イカを使った映像表現

バイオ・フードラボの見学後、改めてイカの色素胞を使った映像表現についての紹介がありました。
皆さんはイカの色と聞いて何色を思い浮かべるでしょうか?

答えは透明でした!

 ただ中には表面が赤~茶の色をしたイカを見たことがある方もいるかも知れません。これはイカの中には色素胞と呼ばれる細胞があり、色素胞を含む袋(弾性小嚢)が筋繊維で伸びたり縮んだりすることで色が変化しているそうです。

 そして筋繊維は人と同じく神経に電気信号が流れることで動くという仕組を利用して、イカに電気信号を流すことで刺激を与え、色の変化させることが出来ます。

 また電気信号はスピーカーに入力すると音として出力されます。この電気を介して音とイカの色素胞の変化を組み合わせた音響映像作品は映像作品でありながらピクセルではなく生命現象を使った新たな表現方法であり、色素胞を意味するクロマトフォアから“クロマトフォニー”と名付けられました。

 自然はそのままではアートではないが、人間がそこに手を加えるとアートになるという城先生の言葉が大変印象的でした。

クロマトフォニーの映像を流す増田先生(左)と成果論文が掲載されたジャーナルを見せる城先生(右)

クロマトフォニーの動画と成果論文の詳細については以下のリンクからご覧になれます。

クロマトフォニー

成果論文

https://doi.org/10.1162/leon_a_02107

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