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第4回「宇宙の謎に迫る!素粒子、ヒッグス粒子、ILCとかけまして・・・」開催レポート

サイエンスカフェ@ふくおか第4回を開催しました。

第4回ポスター

今回の講師は吉岡瑞樹博士(九州大学)と米澤英彦氏(福岡県庁)のお二人でした。

今回の講師:吉岡瑞樹博士(九州大学)

吉岡さんは現在、九州大学素粒子実験研究室に所属する若手の研究者です。九大に赴任する前は日本で一番大きい加速器を所有する研究所:KEK(高エネルギー加速器研究機構)に勤めていたそうです。低エネルギー中性子を用いた基礎物理実験や、国際リニアコライダーの実現に向けた開発研究を行っています。

今回の講師:米澤英彦氏(福岡県庁)

米澤さんは九州大学大学院(素粒子理論)を修了の後、特許庁を経て現在は福岡県庁で九大学研都市構想策定・産学連携などに携わっています。いろんな所へ行くのが好きで、上の写真は言葉が通じない国のワンショットだとか。言葉が通じなくても心は通じるものなんですね。いや~、アクティブな方です。

今回のサイエンスカフェ@ふくおかは、このお二人による対話形式。特にテーマは絞らず、素粒子の世界について気軽なトークが展開されました。

まずは今年のノーベル賞のお話からスタート。
今年のノーベル生理学賞を受賞された山中氏は皆知ってますが、もう1人の受賞者はなかなか知らないものですね。増してや、何をやったかなんて知るわけないです。
でも、何かわからないけど凄いことやってるんでしょうね。

今回のサイエンスカフェで扱う素粒子の世界も、一般の人から見ると「何やってんだろう?」って感じだと思います。
まあ、こんなこと↓やってるんです。

・・・。
これじゃあ分からないですよね・・・。(笑)
もう少し詳しく説明していきましょう。

「”素”粒子とは何か?」という基本的なことを理解して頂きましょう。
まずは参加していた皆さんに”素”の付く単語を挙げてもらったのですが、”素数”とか”元素”とか、いかにもサイエンスファンらしい言葉が出てきました。さすがです。
(僕が最初に思い浮かべたのは”味の素”でした。)

“素”という漢字には「物事を成り立たせるもと。根本になるもの。」という意味があります。素粒子とはそれ以上分割できない様な根本となる粒子のことで、時代によって素粒子は変わっていきます。

こちらは「一家に一枚周期表」です。
たくさんの元素が並んでますが、これだけ元素があると”素”の粒子であるようには感じないですよね。

(一家に一枚周期表はコチラからDLできます。)

昔は物は原子によって構成されると考えられていました。つまり、そのときの素粒子は原子だったのです。
しかし、その原子は陽子・中性子・電子という物質で構成されています。さらに、陽子・中性子はアップ(u)クオーク・ダウン(d)クオークという物質で作られているのです。
現在では、この電子やu・dクオークを含めた以下の粒子が素粒子とされています。

picture by: misatopology©

最近、未発見の素粒子・ヒッグス粒子と見られる新粒子がLHCのCMS・ATLAS実験で確認されました。次世代実験として進められている、ヒッグス粒子の性質を精密に測定する実験:国際リニアコライダー(ILC)計画に弾みを付ける結果だと言えます。このILCは直線で約30″km”の巨大な加速器で、現在国際的に協力して進められています。
実は、このILC建設の有力候補地として九州の脊振山地が挙げられているんです。世界的な研究施設が九州に出来れば嬉しいですね。

今回のサイエンスカフェでもILCについて触れ、「なぜILCが必要なのか?」などのお話がありました。

会場からは終始通して質問が出てきていました。
保護者の方と一緒に来てくれていた高校生・中学生も積極的に質問してくれていました。将来が楽しみですね。

終了後の質問コーナーは今回も盛況でした。僕も高校生・中学生の方々と物理の話をすることができました。

お越し頂いた皆さまのおかげで、今回のサイエンスカフェ@ふくおかはアットホームな雰囲気で良い感じだったと思います。いつもより質問し易かったのではないでしょうか。
今回参加して頂いたみなさま、ありがとうございました。

さて、次回のサイエンスカフェ@ふくおかは「量子力学の不思議な世界」というテーマです。
我々の見ている世界ではあり得ない事が小さい世界では起きています。
そんな不思議な世界を一緒に体験してみようではありませんか!!

ぜひ、次回への参加をよろしくお願い致します!!

(中居)

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