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第15回 生物の謎に迫る!~水上の妖精アメンボ~

みんなと科学をつなぐ素敵空間 サイエンスカフェ@ふくおか第15回を開催いたしました!

第15回ポスター

前回から形を変え、さらにパワーアップしたサイエンスカフェ@ふくおか!
物理に限らない幅広いサイエンスをみなさまにお送りしています。第15回を迎えた今回は、「生物のナゾに迫る!−水上の妖精アメンボ−」をテーマにアツいアメンボトークが繰り広げられました!

え?アメンボ?あの水に浮いてるよく分からんやつ?
そう!あのナゾの生物アメンボには驚くべき事実がたくさんあったのです!

今回も会場いっぱいにお集まりいただきました!ありがとうございます!

第1部

今回アメンボを語るにあたってお招きしたのは、九州大学 理学研究院 生態科学研究室の平山寛之博士!地元五島とアメンボをこよなく愛するイケメン研究者です!聞き手はもちろん素粒子実験研究室の吉岡博士。生物博士と物理博士の絶妙な掛け合いが面白い回になりました。

今回の講師:クールな顔でアメンボを無邪気に語るギャップがまぶしい平山博士

講師 : 平山寛之博士の紹介

長崎県五島市出身。小さい頃から生き物が好きでバッタを追いかけて行方不明になったり、ありの巣を探して崖から落ちたりする。その後、無事に九州大学大学院理学府生物科学専攻を修了。博士(理学)。現在は学術研究員として勤務。自称、日本一アメンボを飼うのが上手い男。

アメンボってそもそも何者?

公園の池や田んぼの中、のんきにスイスイ浮いて泳ぐ変な虫。
そう、誰もが一度は見たことのある「アメンボ」。今日の主役はこいつです。

なんとなーく存在は認識しているけど、意外とアメンボが何者なのか知らないですよね。そもそも分類としてはなんの仲間なんでしょうか?教えてー、平山せんせー!!

平山先生「半翅目という分類です」(さわやか)

さっそく私たちには馴染みのない言葉がさわやかに飛び出しました。読み方すら分かりません。平山先生曰く、これは「はんしもく」と読むそうです。そして、この半翅目、具体的に仲間を挙げるとなんと、「カメムシ」!げげげ…です。まさか水上を優雅に進むアメンボがカメムシの仲間なんて。。
衝撃の事実に少したじろぎますが、実はここに「アメンボ」という名前の由来の秘密が隠されているんです!みなさんご存知の通り、カメムシはいや〜な臭いを出しますよね。実は同じ半翅目のアメンボも独特の香りを発するんだそうです!なんとその匂いが「アメ」の香り!それが理由で、「飴ん坊」→「アメンボ」となったとのこと。「雨」が関係してるのかと思っていただけに驚きです!

アメンボが潜水する!?

さてさて、アメンボはなんで水に浮くことができるのでしょうか?
アメンボの脚先を顕微鏡で拡大するとその答えを知ることが出来ます。なんとアメンボの足先は毛でフッサフサに覆われています。そして体中が脂でコーティングされているのです!この脂の撥水性と水の表面張力によってアメンボは水の上に立つことができるんです!これはすごいですねー、平山せんせー!

平山先生「でも、沈むと死にます」(にこっ)

ええええええええええええぇ!!!またさらっとそんなこと!!

平山先生「そのくせ、ときどき潜水します」

なにしてんだアメンボおおおおお!!!!!!!!
…と言っても、現世に絶望して自ら・・・ということではなく、産卵のために潜水するそうです。しかも、じゃぼーん!とフリースタイルで潜るのではなく、草の茎などをつたってよじよじと潜っていきます。しかし、その潜水能力は人間も圧巻のレベル!平山先生の観察記録では最長60分、深さでは1メートル以上も潜るそうです!でも、昆虫といえどアメンボだって酸素がないと生きていけません。どうやってそんなに長い時間潜水することができるのでしょうか?その秘密はこの写真に隠されているッ!

お気づきいただけただろうか…?そう、身体の周りになにか白く光るものがある…。
体表の毛と分泌する脂で身体のまわりに空気の膜を作っているんです!まさに宇宙服!しかし、これでも60分も潜水するには少なすぎます。そこに気づいた平山先生は実験を行い、アメンボが実は水中に溶けている酸素も利用していることを突き止めました!

1ミリメートルの殺し屋

アメンボの潜水能力がすごいことはわかりましたが、なんでわざわざ命を落とす危険のある水中で卵を生むのでしょう。水辺の砂地ではダメなんでしょうか?
実はその理由には、アメンボの卵の8割を食い荒らす天敵の存在があります。勝手なイメージですが、鳥でしょうか?いや、水辺だから魚?

平山先生「体長1mmの卵寄生バチです」

なんと、体長たったの1mmのハチがアメンボの天敵なのです。卵寄生とは読んで字のごとく、「卵に寄生する」という意味。このハチはあめんぼの卵の中に卵を産み付け、やがて生まれたハチの幼虫はアメンボの卵の中身を食い尽くし、羽化して外へ出てきます。なんというエイリアン。。この憎き敵から卵を守るためにアメンボは命からがら潜水して産卵するんですね。

アメンボの天敵 卵寄生バチ

でも、アメンボだってやっぱり出来ることなら潜りたくはないんです。キツイし、危ないし、水圧なんかもあるし。そこで驚きの習性を持っています。なんと、卵寄生される危険がなければ潜水しません
平山先生の実験によると、卵寄生バチと「出会ったアメンボ」と「出会ったことのないアメンボ」で産卵時の潜水深度が変わったそうです!前者のアメンボは水面近くで産卵し、後者のアメンボは深く潜水してから産卵しました。ポイントは、アメンボが産まれて初めて出会った卵寄生バチをちゃんと”敵と認識して、覚えて”潜水するかを決めたということ。昆虫も過去の経験から行動を決定することがあるんですね!

お話の内容をまとめてみましたが、ここに書いていないアメンボの驚きの事実が他にもたくさんありました。普段気にも留めていなかったアメンボにこんなたくさんの秘密があったなんて、やっぱり生物学は面白いですね!
平山先生の所属されている九州大学 生態科学研究室ではアメンボの他にも、カマキリ、カエル、ヘビ、シカ、さらにはタンポポや熱帯雨林の高木などの植物も研究しているそうです!

第2部

お話の後はみんなでコーヒー片手に談話会!
みなさん熱心にアメンボの習性について平山先生に尋ねていました。

サイエンスカフェ@ふくおか第15回、今回は初の試みとして「生物学」の分野からアメンボのお話をお送りしました!これまでの「物理学」とは大きく異なる分野でしたが、会場の皆さんの反応も上々でとても有意義なカフェになりました。

次回のサイエンスカフェは!?

さて、次回のサイエンスカフェ、テーマは「脳科学」です!
私たちの感情や行動をコントロールしている身体の司令塔「脳」。
その中では一体なにが起きているのでしょう?

開催予定日・会場等、詳しいことが決まり次第またお知らせします!

(古浦)

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