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第33回「現代の錬金術を考える!~周期表を利用した新素材づくり~」開催レポート

みんなと”現代の錬金術を考える”第33回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

第33回ポスター

第33回サイエンスカフェ@ふくおかのテーマは「現代の錬金術を考える!~周期表を利用した新素材づくり~」でした。

今回は化学に関したお話でしたが、なんとこの日、10月23日は化学の日でした!!
化学に関係の深い、アボガドロ定数が10の23乗の大きさであることが由来だそうです!


錬金術(alchemy)は、安価な卑金属からより貴重な貴金属を作り出す試みのこと。その試行錯誤のなかで生まれたのが化学(chemistry)です。錬金術のように元素の種類を変えることは出来なくても、それらを組み合わせることで価値のある材料を生み出すことは出来る!今回は、そんな化学の力を使った”現代の錬金術”について語っていただきました!

今回もBIZCOLIさんの素敵な会場をお借りしました!
いつにもましてアットホームな雰囲気でした。ありがとうございました。

講師は九州大学大学院工学研究院の小野 利和助教!

講師の小野博士(左)と司会の吉岡博士(右)

小野 利和博士のプロフィール
大分県出身。自己表現や文章を書くのが苦手だったとの理由から、理系に進み、どっぷり研究者になろうと化学の道に進みました。でも最近は、文章を書いたり、人前で発表する必要に迫られることが多く、日々勉強の毎日です。お世話になった先輩や職場のおかげで飲みニケーションも覚え、やっと出張先でも九州男児だと言い張れるようになりました。趣味は旅行と食べ歩き。博士(工学)。

今回は、吸水性ポリマーと特殊発光インキについてお話していただきました。

吸水性ポリマー

吸水性ポリマーは網目のような分子の鎖を持つ高分子で、吸水材として紙おむつなどに利用されています。なんとなくCMで耳にしたことがあるような気が…?!

吸水性ポリマーには、浸透圧によって水を吸収し、高分子の鎖で水を閉じ込めて保持する働きがあるそうです。浸透圧は、溶液の濃度を等しくしようと水が移動する働きのことです。
ナメクジに塩をふりかけると、ナメクジが縮んでいく原理と同じです!

吸水性ポリマーは多くの塩(えん、陽イオンと陰イオンの結合したもの)を含み、水に溶けることによって陽イオンであるナトリウムイオンを電離します。それによってまわりの濃度が高くなるため、浸透圧のはたらきでたくさんの水を吸収するのです。そして、高分子の鎖で吸収した水を閉じ込め、ゲルというゼリー状の形になります。

水を吸って膨張した冷えピタ

このような水を吸収して閉じ込める性質を利用して、現在では保冷剤や冷えピタに使われたり、将来的には砂漠の緑化も計画されているそうです。

お札の偽造防止技術

現在の日本紙幣にはたくさんの偽造防止技術が用いられており、すかしやホログラムの他に特殊発光インキが使用されています。特殊発光インキには、ブラックライトを当てた時に光るものの他に、明かりを消した際にインクの部分から光が消えるまでに時間がかかるようなものも開発されています。これにより、今後さらに偽造されにくい紙幣が製造されることが期待されています。

ちなみに、紙幣の偽造防止技術は日本銀行のHPにも記載されています。


講演後の座談会も、リラックスした非常に良い雰囲気で行われました。

〜次回のカフェは?〜

次回のカフェのテーマは、
「錯視の謎に迫る!~目で見たものは真実なのか~」

です!講師には九州大学持続可能な社会のための決断科学センター 錢 琨 講師をお迎えして、錯視の謎に迫ります!
12月11日(金)19:00から開催致します。詳細はこちらのページです。みなさま、是非ご参加ください!!

(森下)

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