九大の知と社会をつなぐー九州大学地域連携推進室

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第72回「宇宙の謎にみんなで迫る!〜市民と研究者の架け橋〜」

第72回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

第72回ポスター

今回もBIZCOLIさんの素敵な空間をお借りしての開催となりました!

今回も大変多くの方にお越しいただきました。

今回の講師は、
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所
上野 一樹 助教、
高エネルギー加速器研究機構 広報室科学コミュニケータ
高橋 将太 さん です!

上野 一樹 助教
大阪生まれ滋賀育ちの関西人です。ドラクエウォー クの冒険ランクは40です(11月現在)。京都大学大学院で高エネルギー宇宙物理実験に関わり博士号取得。その後分野を転向し、現在はミューオンという素粒子を使った素粒子実験に携わっています。趣味はラーメン屋巡りです。

高橋 将太 さん
愛知県生まれ。ドラクエウォークの冒険ランキング は35です(11月現在)。京都大学大学院にて博士号 取得を目指すも、度重なる実験施設の事故により断念、科学広報の道へ。2017年につくば科学教育マイ スターに認定。素粒子、宇宙をキーワードに、子どもたちを基礎科学の虜にし、世界平和を目論む合気道家。トレードマークは笑顔!

高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所 上野 一樹 助教、先端素粒子物理研究センター 吉岡 瑞樹 准教授、高エネルギー加速器研究機構広報室科学コミュニケータ 高橋 将太 さん

第一部

第一部では、まず、素粒子について、
また、サイエンスコミュニケータとはどのようなお仕事かについて、
高橋 将太さんにお話ししていただきました!

素粒子とは?

素粒子とは物質のもっとも小さな単位のことです。
わたしたちのいる宇宙はビッグバンと呼ばれる現象により始まったといわれています。そのビッグバンの直後の高温状態のもとで、素粒子は誕生しました。そこから宇宙が冷えていくと、素粒子同士が結び付いて原子ができました。さらに宇宙が冷えるにしたがって、分子、天体、銀河とより大きなスケールの構造が形作られていきました。
2013年にスイスのLHCで行われている実験によってヒッグス粒子が発見されたことで、標準模型と呼ばれる素粒子の枠組みが完成しました。しかし、標準模型では説明できないような現象が実験で確認されています。その一つが、ニュートリノ振動と呼ばれる現象です。ニュートリノと呼ばれる素粒子が別の種類のニュートリノに変化するという現象で、1998年に日本にあるスーパーカミオカンデによって発見されました。この業績により2015年に梶田 隆章教授がノーベル賞を受賞しました。また、標準模型に含まれない暗黒物質と呼ばれる未知の物質がこの宇宙の大部分の質量を占めているともいわれています。このことから、素粒子実験の分野は、新物理を探す時代に突入したところとのことでした!

サイエンスコミュニケータとは?

サイエンスコミュニケータとは、研究者などの専門家と、政府や科学ファンなどの非専門家を橋渡しする役割のお仕事です。素粒子実験に用いられる実験装置は非常に高額であり、放射線を扱う場面も多いため、その建設・運用を行う際には国民との対話が重要になります。そこで重要なのが、サイエンスコミュニケータというお仕事だそうです!
サイエンスコミュニケータの活動として、以下のようなことなどを行っているとのことでした。

  • ニコ生
    Belle II検出器という巨大な検出器をビームの中心へと移動する模様や最初のビームが出るまでの模様をニコ生で中継しました。普段はなかなか見ることのない実験プロセスを多くの人に見てもらう良い機会となりました。
  • KEKサイエンスキャラバン
    高エネルギー加速器研究機構(KEK)が派遣費用を負担し、全国の中学高校などでの出張授業を行っているそうです。
  • KEKサイエンスカフェ
    KEKでも毎週金曜日にサイエンスカフェを開催しており、高校生などの地元の方々とフランクな雰囲気で交流を行っているそうです。

また、上野 一樹 助教には、ミューオンという素粒子について、
アウトリーチ活動として行っている小型素粒子検出器の開発などについて
お話ししていただきました!

ミューオンとは?

ミューオンという素粒子は、寿命が2.2マイクロ秒で電子の質量の200倍の質量をもつ粒子です。ミューオンが発見される以前は、電子、陽子、中性子の3種類のみですべての現象が説明できると考えられていました。しかし、ミューオンが発見されたことによりそれまでの認識が覆され、現在に続く素粒子物理学の道が切り開かれたという歴史があります。ミューオンは宇宙線として、今こうしている間にも手のひらに1秒に一個の頻度で地上に降り注いでいます。そんなミューオンは様々な用途で応用利用されており、代表的な例としてはエジプトのピラミッドの透視などがあります。

OSECHI検出器

アウトリーチ活動の一環として、お手軽なミューオン検出器を全国に配布するという計画を行っているそうです。全国に配布した検出器を用いて同時測定を行い、宇宙天気などを調べることを目標としています。計画はまだ始まったばかりで、現在は中高・高専をターゲットに検出器を作るワークショップを行っています。OSECHI(Outreach & Science Education Cosmic-ray Hunt Instrument)と名付けられた検出器は現在、さらに小型で安価に作れるように改良中だそうです。「目指せ一家に一台素粒子検出器!」という野望を掲げ、日々コツコツ開発を行っているとのことでした。

上野 助教に持参いただいたOSECHI検出器
100均で入手した重箱を使っているそうです!

第二部

第二部では、OSECHI検出器を用いて実際に宇宙線ミューオンの検出を行いました!

OSECHI検出器の中には上の写真のようなプラスチックシンチレータと呼ばれるものが3枚重なって入っています。このプラスチックシンチレータは、ミューオンが通った際に微弱な光を発するという性質があります。プラスチックシンチレータが光るとその信号が回路で処理されLEDを光らせることで、ミューオンが通ったかどうかがわかる仕組みになっています。
まだ手作り感を感じる見た目ですが、今後はLEDを重箱の表面に設置するなどの改良を加えて、デザインも洗練していきたいとのことでした!
検出器を実際に動かすまでは会場に少しの緊張感が漂っていました。しかし、LEDが3つ同時に光り、ミューオンを検出するのに成功すると、会場全体が拍手に包まれました。
そこからは、参加者の方々も興味津々で

「OSECHI検出器の中はどうなっているの?」
「プラスチックシンチレータが光るのはなぜ?」
「OSECHI検出器を海に沈めたら何かわかる?」
「ミューオンが飛んでくる方向に偏りはあるの?」

等、次々に質問が飛び出していました!

OSECHI検出器を囲んでの座談会の様子

第73回 サイエンスカフェは、

「ニラマタンの謎に迫る!」

京都大学防災研究所 気象水象災害研究部門 西嶋 一欽 准教授を講師にお迎えして、南太平洋バヌアツ共和国タンナ島の伝統建築について科学的に分析します。
皆さまぜひいらしてください!

令和2年1月24日(金) 19:00~21:00
BIZCOLI 交流ラウンジにてお待ちしております!

(荘司)

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