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第73回「ニマラタンの謎に迫る!~南太平洋バヌアツ共和国タンナ島の伝統建築を科学で分析する~ 」開催レポート

“ニマラタンの謎に迫る!”
第73回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

サイエンスカフェ 第73回のテーマは
「ニマラタンの謎に迫る!」
~南太平洋バヌアツ共和国タンナ島の伝統建築を科学で分析する~
バヌアツ人たちの経験の詰まったニマラタンという伝統建築の特徴を科学的な分析結果をもとに教えていただきました!

第73回ポスター

今回もBIZCOLIさんの素敵な空間をお借りしての開催となりました!

今回も大変多くの方々にお越しいただきました。

今回の講師は、
京都大学防災研究所 気象水象災害研究部門
西嶋 一欽 准教授 です!

スイスとデンマークに合わせて10年間住んでいました。現在、日本の生活に慣れるために絶賛リハビリ中。専門は、自然災害リスク分析と風工学。趣味は古民家の手入れ。

左から、九州大学大学院工学研究院応用化学部門 岸村 顕広 准教授、京都大学防災研究所気象水象災害研究部門 西嶋 一欽 准教授、九州大学先端素粒子物理研究センター 吉岡 瑞樹 准教授

【第一部】

第一部では、西嶋先生が行っている古民家の修復について、そして、バヌアツ共和国の防災事情や伝統建築ニマラタンについてお話していただきました!
西嶋先生は、趣味の一環として京都にある古民家を買い取り、修復を行っています。古民家には、先人が膨大な経験から得た知恵がたくさん隠されています。そのような知恵を学びながら、修復作業を楽しんでいるそうです。
また、バヌアツ共和国の伝統建築であるニマラタンにもたくさんの先人の知恵が詰まっています。西嶋先生は、その知恵を科学的に分析し現地の方々にその結果を伝えるなど、現地の方々と一緒により良いニマラタンを作る活動をされているそうです。

  • ニマラタンとは?
    2015年3月にサイクロン・パムがバヌアツ共和国を襲いました。西嶋先生らはその被害状況を調査するために同年4月にバヌアツのタンナ島を訪れたところ、現地の方々の暮らしている伝統建築はほぼ復旧が済んでおり、半ば拍子抜けしてしまったそうです。そのような伝統建築は、実際にそこに住んでいる現地の方々の手作りのため、そのように早急な復旧を実現することができました。それら伝統建築の中でも、三角形の断面を持つニマラタンと呼ばれる種類の建築は特に丈夫であり、サイクロン被災中は現地の方々の避難所として機能していました。西嶋先生は、先人の経験によって得られたニマラタンの丈夫さの秘密を科学的に裏付けたいと思い、その研究を始められたそうです。

  • JAICA 草の根技術協力事業
    丈夫で復旧が容易なニマラタンですが、近年はその数が減ってきています。現地の方々への聞き取り調査の結果、・内部が暗く狭い、・雨が降ると内部が水びたしになる、などの欠点が減少の理由であることがわかりました。なので、JAICAの草の根技術協力事業として、長所を活かしつつそれら欠点を改善した新たなニマラタンの開発を行っています。また、伝統建築の価値を現地の方々に伝える活動も並行して行っているそうです。

  • ニマラタンにはなぜナマル?
    ニマラタンは、現地で取れるナマルという木が材料として使われています。では、なぜナマルが使われているのでしょうか?そのことを科学的に検証するために、西嶋先生は、さまざまな種類の木材をバヌアツから日本へ取り寄せ、それらの試験を行いました。その結果、ナマルが強度・シロアリ耐性・腐食耐性で優れているということが証明され、先人の経験を科学的に裏付けることができました。

【第二部】

第二部では、古民家修復やニマラタンの研究について、参加者の方々からの質問コーナーとなりました。参加者の方々からは、

「ニマラタンから日本の防災に活かせるヒントはある?」
「日本の昔の建築の良さを現在にも活かせる?」
「安全な家をえらぶにはどうすればいい?」

などの質問が飛び出していました!
また、災害の多い日本での防災についてや現在の日本の建築基準についてなど、参加者の方々と講師の先生との間でより深い議論が交わされていました!

第二部の座談会の様子

第74回 サイエンスカフェは、

「ブラックホールの謎に迫る!」

九州大学大学院理学研究院物理学部門 町田 真美 助教 を講師にお迎えして、ブラックホールシャドウが初めて撮影されたことでも話題のブラックホールについてお教えいただきます。
皆さまぜひいらしてください!

令和2年3月13日(金) 19:00~21:00
BIZCOLI 交流ラウンジにてお待ちしております!

(荘司)

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