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第76回「ブラックホールの謎に迫る!~見えるの?見えないの?~ 」開催レポート

“ブラックホールの謎に迫る!”
第76回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

サイエンスカフェ 第76回のテーマは
「ブラックホールの謎に迫る!」
~見えるの?見えないの?~
2019年4月にブラックホールシャドウが史上初めて撮影されたことによりホットな話題となっているブラックホール。
そのブラックホールとはどのようなものか?
ブラックホールシャドウはどのように撮影されたのか?
などについて詳しく教えていただきました!

前回同様、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、BIZCOLIさんのZoomを用いての開催となりました!
※通常のサイエンスカフェであれば二部構成ですが、今回は一部のみとなりました。

今回の講師は、
国立天文台科学研究部
町田 真美 准教授 です!

新潟県出身。小学生の頃ブームになった「ハレー彗星」で宇宙に興味を抱く。
残念ながら、海辺まで連れて行ってもらった初観望は、ハレー彗星を見つけられず。すごすご帰ってきました・・・
大学に入り、ベテルギウスの大きさが木星軌道くらい、重さが20倍と、某⚪研の「科学」に掲載されていた、太陽の250倍、半径は10倍くらいとは、全く変わっていた事に衝撃を受けました。

スタッフと参加者の方々

(上段左端)九州大学先端素粒子物理研究センター 吉岡 瑞樹 准教授
(中段左端)国立天文台科学研究部 町田 真美 准教授
(下段真ん中)九州大学大学院工学院応用化学部門 岸本 顕広 准教授

2019年4月にEvent Horizon Telescopeという研究プロジェクトは、史上初めてブラックホールの撮影に成功しました。今回は、撮影されたM87銀河の中心にある超大型ブラックホールについて、その特徴や撮影手法などをお話ししていただきました!
ブラックホールは光さえも脱出できないほど強い重力を持った天体であるため、それ自体を直接観測することはできません。しかし、光がブラックホールに吸い込まれてしまった領域が円形の影となり、進路を曲げられた光がその影の周りに輪をつくるという現象ならば観測することができます。この現象をブラックホールシャドウと呼び、Event Horizon Telescopeによって撮影されたものもこのブラックホールシャドウになります。

  • ブラックホールシャドウはどのように撮影された?
    Event Horizon Telescopeは主に13の研究機関が世界中から参加している国際的な共同研究プロジェクトです。天体望遠鏡は一般的に大きな面積を持っているほどより良い精度で天体を観測することができます。そこでEvent Horizon Telescopeでは、世界中に点在する7台の天体望遠鏡により取得されたデータを集めて解析することにより、ひとつの大きな仮想的な天体望遠鏡を作り上げることで、ブラックホールの観測を行いました。その結果、月に置いたゴルフボールが地球上から見えるほどの視力を達成し、ブラックホールシャドウの撮影を行うことに成功しました。これにより、ブラックホールが実在することがより確かなかたちで示され、このブラックホールの質量や回転方向なども明らかになりました。

  • ブラックホールから発生するジェットとは?
    撮影されたブラックホールからは7000~8000光年ほどの距離のジェットが伸びていることが知られています。また、回転しながらブラックホールへと落ちていく物質によって、ブラックホールの周りには降着円盤と呼ばれる光の円盤が見られます。この降着円盤内のガスなどが高速で回転することによって、ブラックホール周辺には強力な磁場が発生しています。ブラックホールから伸びるジェットは、この磁場によって周辺のガスなどが勢いよく噴き出すことで生成されます。このジェットによって噴出されるエネルギーはブラックホールの半径の1000億倍以上の範囲の銀河や銀河団などに影響を与えます。もしかしたら私たち自身を含む地球の物質もブラックホール由来のエネルギーからできているかもしれません。

【質疑応答】

質疑応答の時間には、参加者の方々から、
「M87銀河とその中心のブラックホールの回転は相関がある?」
「ブラックホールからのジェットはいづれ尽きますか?」
「ブラックホールを作る実験はあるの?」
などたくさんの質問が飛び出していました!

(荘司)

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