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第101回サイエンスカフェ@ふくおか「情報薬の謎に迫る!~あなたの行動は情報で変えられる?~」開催レポート

 2024年5月24日(金)に第101回目となるサイエンスカフェ@ふくおかをBIZCOLIさんの素敵な空間をお借りして開催しました。
今回は飛び込み参加も多数あり、35名の方々にご参加いただきました。

【講師紹介】

 今回の講師は、九州大学大学院システム情報科学研究院教授の荒川豊先生です。
先生は糸島市出身。附属小、附設中・高から慶應に進み、情報通信系の研究をスタート。
修士の頃にスタートアップの立ち上げに参加したのがきっかけで学生期間延長のため博士課程に進学。
iPhoneの登場でアプリに興味が出たため、 30歳で異分野へ転向。30代は、フランス、ドイツ、アメリカと3回も留学。
そんな感じで直感的に好きなことを選んでいたら41歳で九大の教授に!?
座右の銘は好きこそものの上手なれ。

 30歳にiPhoneの衝撃を受けて、大転換を図った先生。
今回は「情報薬の謎に迫る!~あなたの行動は情報で変えられる?~」と題して、お話していただきました。

 

 現在、スマートフォンをはじめ、スマートウォッチ、スマートリングなど、私たちのまわりにはたくさんのデバイスがあります。
そして、その中に内蔵センサーが埋め込まれており、私たちの計測可能な心身の状態を図っています。


 そう、スマホは何でもお見通しなのです。

 参加者が手持ちのスマホを片手に、先生がレクチャーしながら説明する内蔵センサーの数に会場は驚きました。

スマホは私たちの想像以上に、ポケットの中で私たちをみている。ということを体感する一幕でした。

 次に、先生の研究例などを説明していただきました。
姿勢認識やメンタルヘルスなど、手の甲の角度によって仕事かプライベートかが認識できるものもあるのだとか。
(手の甲が上だと、仕事していることが多く(キーボード入力)、手の甲が下を向いているとプライベートな時間を過ごしていることが多い。等)

 また、チャットシステムのslackのメッセージ内容をAIが学習し、その人の性格などを分析できるアプリなども開発中と伺いました。
先生が話せば話すほど、驚きの回数が増えていくのを感じました。

 次にデジタル医療機器の1つであるプログラム医療機器SaMD(医療機器としての目的性を有しており、かつ、意図したとおりに機能しない場合に
患者(または使用者)の生命および健康に影響を与えるおそれがあるプログラム)についての説明をされました。
画像診断を行うプログラム医療機器SaMDについては、すでに導入している病院もあるとのことで、レントゲンやMRIのデータの人間が見落とすことを防ぐために利用されているとのこと。こうした機器が機器が普及することで、過疎地域での医師不足の改善、地域医療につながることを期待されているそうです。

 一方、デジタル治療DTxと呼ばれるプログラム医療機器も世の中に登場し、日本でもすでに発売されているそうです。
病院に行くと、飲み薬と同じように処方され、保険適用により3割負担でアプリが購入できるようになっていることには驚きました。
今後は、さまざまな疾患に対して、AIによる診断とカウンセリング、日常の支援を行われていくそうです。

 最後に先生から、開発する側や使用する側の倫理観、ガイドラインの必要性、情報技術の光と闇をよく知り、
うまく付き合っていくことの大切さを強調しておりました。

 講演最後に、「ガーファは信用できるの?」「先生おすすめの本について」「内蔵センサーの認知力について」「スマホ依存症をなくすには?」「アプリでアルコール依存症やギャンブル依存症を治すことはできるの?」等の質疑応答を受け、第一部が終了しました。

【第二部】

 第二部の座談会では、第一部で伺った内容での疑問点や質問「生成AIの現在の問題点と今後について」「交通機関にどう活用できるのか?」「ナッジ理論について」など話題が飛び交い、予定時間を超えるほどの質問などで盛り上がりました。皆様の関心の高さを伺えました。

 荒川先生、貴重なお話をありがとうございました。

 

次回の「サイエンスカフェ@ふくおか」のお知らせ

 次回は、6月14日(金)19時よりBIZCOLIさんの交流ラウンジにて対面で開催されます。
「本当のところ、日本の医療ってどうなってるの?~世界からみた日本の医療~」と題し、
九州大学病院国際医療部 九州大学 病態機能内科学の森山先生にご登壇いただきます。
詳細は下記のURLをご確認ください。皆様のご参加をお待ちしております!

https://www.bizcoli.jp/calendar/20240614/

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