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令和6年度九州大学公開講座「ジェンダード・イノベーション~知識生産・技術開発のグローバル・スタンダード~」を開催

令和6年12月8日に九州大学医学部百年講堂で、
「ジェンダード・イノベーション(GI)」をテーマに
公開講座を開催し、約40名の方にご参加いただきました。
「ジェンダード・イノベーション」とは、科学技術や研究の分野でジェンダーの視点を積極的に取り入れることで、従来の研究開発では見落とされていた課題を発見したり、新しい解決策を見つけたりすることを目指すアプローチです。
2010年あたりから欧州の科学技術政策に取り入れられていますが、日本では本学が2016年にジェンダード・イノベーションの提唱者であるロンダ・シービンガー教授を招いて講演を行ったことを契機に国内に広がり、様々な分野でその重要性が認識されることとなりました。
本学が掲げる九州大学VISION2030でも、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンは重要なテーマとして取り上げられています。
当日は、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン担当の園田理事・副学長の挨拶に続き、日本のジェンダード・イノベーションの第一線で活躍する佐々木 成江先生(横浜国立大学 客員教授・学長特任補佐(ジェンダード・イノベーション担当)、東京大学 特任准教授)と、伊藤 貴之先生(お茶の水女子大学 共創工学部文化情報工学科/理学部情報科学科 教授)、本学男女共同参画推進室の河野銀子先生から、ジェンダード・イノベーションとはなにか、性差を意識した研究・開発の具体的な事例等を用いて説明いただくとともに、ジェンダード・イノベーションが拓く未来について講演いただきました。




第二部では芸術工学研究院・田上健一教授がモデレーターを務め、登壇者3名と会場の参加者を交えたパネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッションでは、第一部の内容を受けて、各講演者から我が国のジェンダード・イノベーション推進のための社会に向けたメッセージや、九州大学に期待することなどが述べられました。また、昨今の性別を答えさせないという配慮が、かえってデータ統計や医療行為におけるデータの解像度へ影響を与えることなど、新たな視点も共有されました。
参加者からも多くの質問や意見が投げかけられ、各人の経験から性差の視点を取り入れることがどのようなことに繋がっていくのかについて理解を深めるとともに、ジェンダーバイアスとの切り分けの難しさなどを会場全体で共有したディスカッションとなりました。






閉会後のアンケートでは、ジェンダード・イノベーションを推進するためには、ジェンダーエクイティを尊重する価値の醸成が不可欠であるといった意見や、ジェンダード・イノベーションが秘めるビジネスチャンスの可能性への期待などが寄せられました。
今回の講座を通じて、多くの参加者がジェンダー問題に対する新たな視点を得ることができたことを嬉しく思うとともに、ジェンダーエクイティを尊重する価値観の醸成にも取り組む必要性を感じる場となりました。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。