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第105回サイエンスカフェ@ふくおか「心肺蘇生について」~とっさの時に人を救えますか?~

2024年12月19日(木)に第105回目となるサイエンスカフェ@ふくおかを開催しました。
今回の会場も、BIZCOLIさんの素敵な空間をお借りし開催!NHK福岡放送局の取材が入る等、いつもと少し違った緊張感を感じつつ、平日の夜でしたが、たくさんの方にご参加いただきました!

今回は、九州大学未来社会デザイン統括本部のシンクタンクユニットと医療・健康ユニットが連携して企画したものです。

【講師のご紹介】
赤星 朋比古 教授(九州大学 医学研究院 臨床医学部門)
1995年九州大学医学部卒。
九州医療センターおよび市民病院の外科を経て、
2010年より九州大学病院救命救急センター講師。
2016年准教授、副センター長。
2023年九州大学に新設された救急医学講座の教授となる。
現在は九州大学病院救命救急センター長を兼務。

今回は「心肺蘇生について」 ~とっさの時に人を救えますか?~ と題してお話と実演を行っていただきました!

【第一部】
今回のファシリテータは九州大学病院 国際医療部 講師をされていらっしゃる、工藤先生に務めていただきました。開会挨拶は九州大学未来社会デザイン統括本部・シンクタンクユニットの尾方先生に行っていただきました。


九州大学病院救急救命センターに勤務されている赤星先生。
九州大学病院は国立大学病院の中では最多病床数を持っており、小児救急に関しては絶対に受入れる体制をとっているのだそうです。

はじめに、福岡の救命医療についてのお話がありました。
福岡は、心肺蘇生を行ってからの生存率が全国トップの成績であり、1か月後の生存率、社会復帰率ともに全国1位!福岡市は特に良いのだそうです。
福岡に住んでいる私たちにとって、とても心強いことです★

なぜ福岡の成績が良いのか?先生の研究結果によると、救急・消防隊が駆けつける前に、通報者が胸骨圧迫を行っているから!!
市民の救急救命への意識が高く、救命に関する講習の受講率が高いことが理由だといえます。

世界史をたどっての心肺蘇生方法の紹介がありました。
その時代、時々の心肺蘇生方法があり、理にかなった方法があった様です。
例えば、馬に人をうつ伏せに乗せて、馬を歩かせた時の振動が胸骨圧迫になり(!?)蘇生した!という記録もあり、当時行われていた方法なのだそう。

現在の蘇生方法も少しずつ変化しており、以前は、
A(気道確保)→B(呼吸)→C(胸骨圧迫)
だったけれど、現在では、
C(胸骨圧迫)→A(気道確保)→B(呼吸)
が主に行われ、推奨される方法だそうです。
とっさの時、意識の有無を確認できなかった場合でも、先に胸骨圧迫をすることで、もし意識が戻れば「痛い」などの反応があります。
反応があった場合は胸骨圧迫をやめれば良いので、救命・確認する意味でもC→A→Bの順番が良いということになります。

また、AEDの使用も有効ですので、自分が普段いる場所の近くでは、どこにAEDが設置されているのかを把握しておくことをお勧めします。
AEDセット内に使用方法が記載されており、実際に使用する時は音声案内があります。電気ショックを与えて良いかどうかもAEDが自動で判断してくれます。
優れた装置です!
心肺蘇生方法について、救命医療に関わる先生からの貴重なお話が進みます。
胸骨圧迫の方法、回数や押す場所、どれくらいの強さで押すと良いか…とても勉強になるお話です。押すだけでなく、戻すことも大事!

ここから、ペットボトルを使用しての胸骨圧迫の実演に入ります。

こちらの様子はNHK福岡放送局のニュースでも紹介されました!
500mlのペットボトルを押して戻すを繰り返しての実演。”1分間に100~120回”のペースで胸骨圧迫を行います。これが結構大変なのですが、救命の現場では”絶え間なく行う”ことが大事ですので、1人ではなく、交代しながら胸骨圧迫を続けられることが大事です!

【第二部】
尾方先生より、救急車の不正利用に関するお話がありました。
福岡市は人口比で市民1人当たりに対する救急救命士の人数は他県、他市と比べると少ないそうです。けれど、救命、生存率は全国トップ!福岡市の救急救命士は物凄く働いている!ということが見えてきます。
救急車の不正利用についての調査・研究を進めるなかで、福岡市は不正利用が少なく、素晴らしい面が見えてきたと仰っていました。

引き続き座談会形式で、ご参加いただいた皆様から質問をいただき、先生に答えていただくという会話のキャッチボールが行われる中、お話が弾んでいきます。
たくさんの質問、疑問をいただき、これからの救急医療の課題に触れるような話題にもなり、お一人お一人に考えていただける時間をもてたのではないかと思います。

終始聞き逃せない内容がぎっしり詰まった今回のサイエンスカフェ。救急医療の最前線にいらっしゃる医師である赤星先生の貴重なお時間をいただき、とても充実した回となりました。
赤星先生、ありがとうございました!!

次回の「サイエンスカフェ@ふくおか」の開催日は未定となっております。
開催が決まりましたら、こちらのホームページでお知らせいたします。

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