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第6回「宇宙の謎に迫る!宇宙観のうつろい~天動説からビッグバンまで~」開催レポート

みなさま、明けましておめでとうございます。
2013年最初のサイエンスカフェ@ふくおかを開催しました。

第6回ポスター

今回の会場はメディカルシティ天神でした。
福岡の中心地ということもあり、アクセスも良く、会場もオシャレ。
良い場所です!

会場の写真

さて、第6回となったサイエンスカフェ@ふくおか。
今回は皆さんが大好きな宇宙を取り扱います。
私も天体観測や星の写真を撮るのが好きで、明るい星が多い冬にはついつい夜空を眺めてしまいます。 福岡だと街明かりで星空を見ることは難しいのですが、郊外に行けばこんな感じの星空を眺めることが出来るんです。きっと昔の人はこのような星空を見ていたのでしょうね。

今も昔も変わらない満天の星空。宇宙の広さを思い知らされます。
でも、宇宙に対して抱くイメージは今と昔で異なっており、時代によって変わってきたのです。

ということで”宇宙観の移り変わり”が今回のテーマ。

お話しして頂いた講師の方は、九州大学の吉岡さんと福岡県庁の米澤さんのお二人。

今回の講師:吉岡瑞樹博士(左)と米澤英彦氏(右)

講師の紹介

“吉岡さんは九州大学素粒子実験研究室の若手研究者です。低エネルギー中性子を用いた実験や、現在計画されている国際リニアコライダー(ILC)の実現に向けた測定器の開発研究などを行っています。

米澤さんは九州大学大学院(素粒子理論)を修了された後、特許庁を経て、現在は福岡県庁商工部新産業・技術振興課に所属しています。九大学研都市構想の策定や産学連携などに携わり、2011年からはILC担当となりました。現在は国際研究都市構想「サイエンスフロンティア九州構想」の策定や広報活動を行っています。

地球の大きさ

まずは、最初に人間が地球の大きさを測ったお話からスタートしました。
文献によると木の棒で出来た影を使って地球の大きさを測定していたようです。諸説ありますが、当時は10% 程度の誤差で地球の大きさを測定できていたと考えられています。
会場でも同じ原理を用いて模擬的な地球(紙製)の大きさを実際に測定してみました。
その結果、測定値と実際の値のズレは5% 以内で測定することができ、見事成功しました!

天動説と地動説

そして天動説と地動説のお話へ突入。
教会の支持もあり、天体は地球を中心に回っている(=天動説)と長い間信じられていました。しかし観測の技術が上がるにつれ天動説では説明できない事が明らかになってきたのです。そして、ニコラウス・コペルニクスによって「天球の回転について」という本が出版され、その中で地球が太陽の周りを周回しているという説(=地動説)が提唱されました。なお、教会からの糾弾を避けるために、本の出版は彼の死の直前だったようです。

そしてガリレオの望遠鏡を使った天体観測によって、金星の満ち欠けなどの天動説では説明できない決定的な事象が発見されました。ガリレオは地動説を信じる様になり、「天文対話」という本を出版しました。教会から問題視されないよう、この本では3人の人物が登場して地動説、天動説、中立派の3つの立場で議論する構成となっていました。しかし残念ながらガリレオは宗教裁判に掛けられることになり、最終的には地動説を放棄するように宣誓させられてしまいます。このときに言ったとされる「それでも地球は回っている」は有名な言葉ですね。

重力

さて、ガリレオによる望遠鏡の発明以降、観測データが蓄積されていくにつれ天体の運動法則について理解が深まっていきました。ケプラーにより、太陽と惑星の間には距離の逆二乗に比例した力が働くことが明らかにされたのです。後にニュートンによって万有引力の法則が提唱され、この力は現在重力と呼ばれています。

相対性理論

ニュートンによる重力の発見以降も科学は発展していき、宇宙についての知識は更に深まっていきました。特にアインシュタインによって展開された「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」は重要です。

特殊相対性理論では物質とエネルギーの間の関係式

が得られます。エネルギーを質量に、また質量をエネルギーに変換できるという有名な式です。見慣れない式でしょうけど、会場の皆さんの多くはすでに知っていたようです。しかも、知っていると答えた人の中には小学生の姿も…。いやはや驚きです。(将来が楽しみですね)

また、一般相対性理論ではアインシュタイン方程式という式

が得られます。これは(時間や空間の歪み)=(物質やエネルギーの分布)という意味を持っており、重力が働く場所では時間の進みが遅くなることを示しました。実際に、カーナビなどで利用されているGPSではこの効果による補正が加えられています。
さらに、この式を宇宙全体に適用することによって宇宙の発展を記述する事も出来る様になりました。

しかし、アインシュタイン方程式からは「宇宙が膨張していく」という結果が出てしまったのです。現在では宇宙が膨張していることが確認されていますが、アインシュタインはその結果を受け入れる事が出来ず、Λ(宇宙項)を付け足してこのような式に書き換えてしまいました。

宇宙の大きさが変わらないように帳尻合わせをしたのです。後に宇宙が膨張していることを認めたアインシュタインはこの帳尻合わせを「人生最大の失敗」としています。

ビッグバン

さて、時間が経つにつれて宇宙がだんだん大きくなっているなら、時間を遡ったときに宇宙が小さくなっていくことになります。ということは、宇宙はある点からどんどん広がっていき現在の大きさになったことになります。
この説は「爆発から宇宙が始まったとでも言うのか」という皮肉を込めて「ビッグバン」(大爆発)と呼ばれました。皆さんご存知のビッグバンは皮肉って名付けられた名前なのです。

最後に

また、最後の方では吉岡さんも携わっている「ILC」についても触れられました。
ILCのお話になった途端、会場の皆さんからは拍手も起きていました。地元福岡の方々の関心が高くなってきているようで嬉しい限りです。

今回のサイエンスカフェ@ふくおかの参加者数は過去最高でした!!
また、中には小学生や佐賀から来た大学生の参加者も見受けられ、質問もたくさん出てきました。サイエンスへの情熱がひしひしと伝わってきました。会場の雰囲気としても所々で拍手が起きたりして温かい雰囲気でした。参加して頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

第7回のサイエンスカフェ@ふくおかですが、日程は現在調整中です。日程が決まり次第HPやSNSを通じて告知させて頂きます。
それでは、今年も一年間サイエンスカフェ@ふくおかをよろしくお願い致します。

(中居)

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